資格名

アクチュアリー
※日本語名:保険数理士

資格の種類

民間資格

主催者

日本アクチュアリー会

資格試験の概要

「アクチュアリー(保険数理士)」は、保険商品の開発や年金制度の設計に携わる確率・数理統計の専門家です。確率や統計など、数学理論で保険や年金の商品設計および経営リスクの分析をするのが主な仕事です。 資格名は「保険数理士」とか、「保険計理士」、「保険統計技師」などと訳されていますが、日本においては「アクチュアリー」とカタカナ読みで呼ぶのが一般的です。
人の寿命のように個別には予測不可能なことも、統計と確率計算をすれば、ある一定の法則に従うことになります。その計算値に基づいて、保険や年金の掛金を計算し支払金が決められるのですが、保険会社や信託銀行、官庁などで、このような高度な計算に携わる数値計算の技術者が、アクチュアリー(保険数理士)です。資格取得者は国内では1300人ほどしかいない大変な狭き門です。日本ではあまり聞きなれないですが、米国では「有望な資格」としてよく知られています。
この資格は、非常に難易度も高く、希少が価値あるため、ニーズは今後も増える見通しです。また、出世や転職の武器にもなり、安定した高給が見込めます。資格取得者の6~7割は生保、損保、信託銀行などに勤務しています。

日本国内でアクチュアリーになるには、日本アクチュアリー会が実施している資格試験に合格し、正会員資格を取得する必要があります。日本アクチュアリー会の会員は、生命保険会社・損害保険会社のほか、信託銀行や各省庁、コンサルティング会社、監査法人など、いろいろな分野で活躍しています。尚、日本アクチュアリー会は海外のアクチュアリー会とも交流があり、国際的な資格として認定されています。

アクチュアリーの先進的な国際資格に「CERA」があります。CERAとは、Chartered Enterprise Risk Actuaryの略でERM(エンタープライズ・リスクマネジメント)に関する専門知識および問題解決能力を有すると認定された場合に付与される国際資格で、アメリカ、イギリスを初め、多くのアクチュアリー会がCERA資格の認定を行っており、日本アクチュアリー会においても2012年度からCERA資格の認定を開始しました。平成26年度の CERA試験・研修の結果が1月に発表され、平成26年度の新CERA資格者として14名が承認されました。 ➡「CERA資格」の詳しい内容
(申込者数56 名 受験者数52 名 合格者数15 名 合格率28.8%) 

◆アクチュアリー資格関連情報
・日本アクチュアリー会は2023年試験からアクチュアリー試験をCBT方式で実施することを発表しました。また、それに伴って以下の改正が実施されることになります。
①2023年度より、第1次試験(基礎科目)の受験資格が変更されています。
②2023年度より、受験料が変更されています。
③2023年度より受験日程が変更されています。 試験3日目は、午前午後それぞれ第1次試験の科目を実施します。  離れた試験会場では2科目を受験できない恐れがあるため、受験会場の予約の際に注意が必要です。

合格率・資格難易度

難易度
  「A」  難関 

【資格の難易度レベル】
アクチュアリー試験は非常に難しく、受験資格も学歴が大卒又は、試験委員会が大学を卒業と同等の基礎的学力を有すると判断した者が対象になります。合格率は全科目10~20%ほどです。1次試験の1科目当りの勉強時間はおおよそ200時間くらいは必要で、1次試験に合格するまで約5年、さらに2次試験に合格するまで平均8~9年くらいは覚悟が必要です。
アクチュアリーの難易度に関して、よく公認会計士試験と比較されることがありますが、アクチュアリー試験では年金や損保などについては公認会計士より難しいことを問われますが、公認会計士は統計以外に管理会計や簿記等の計算科目の他、企業法や監査などでは理解力、租税法や財務諸表論では理解だけでなくかなりの暗記能力も問われ、総合的に判断すると、アクチュアリーは学習範囲が狭く深く、に対して公認会計士の方は広く浅くになります。結局、全体的なボリューム等を考えると、すべてを把握しなければならない分、公認会計士の方が難しいと考えていいと思います。
アクチュアリー試験の個々の科目の難易度を比較して、難易度レベルを低い順に並べると、
数学<会計・経済・投資理論<生保数理<損保数理<年金数理=損保1<損保2、というところでしょう。ただ、2023年試験からはCBT方式が採用されるため難易度に関しては、少し落ちる傾向があると言われていますが、現状ではまだよくわかりません。 

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合格率 
2022年度アクチュアリー試験結果 
1次試験合格率(合格者数/受験者数)
数学12.8% (98/767) 生保数理19.7% (95/482) 損保数理21.5% (110/512) 
年金数理33.3%(123/369)  会計32.8%(188/574)
2次試験合格率(合格者数/受験者数)
生保1 14.4%(52/361) 生保2 15.8%(51/323) 損保1 15.3%(22/144) 
損保2 10.5%(11/105) 年金1 6.9%(5/72) 年金2 17.4%(12/69)
・2021年度アクチュアリー試験結果 
1次試験合格率(合格者数/受験者数)
数学12.4% (115/928) 生保数理28.5% (162/568) 損保数理31.8% (209/658) 
年金数理47.7%(275/577)  会計17.7%(112/634)
2次試験合格率(合格者数/受験者数)
生保1 17.6%(59/335) 生保2 15.5%(47/303) 損保1 16.4%(22/134) 
損保2 24.3%(26/107) 年金1 10.0%(6/60) 年金2 20.0%(14/70)
・2020年度アクチュアリー試験結果 
1次試験合格率(合格者数/受験者数)
数学13.0% (136/1,044) 生保数理36.3% (230/633) 損保数理13.3% (91/682) 
年金数理13.1%(64/487)  会計33.3%(248/745)
2次試験合格率(合格者数/受験者数)
生保1 17.4%(62/356) 生保2 19.8%(63/318) 損保1 15.0%(22/147) 
損保2 18.5%(22/119) 年金1 14.3%(10/70) 年金2 17.6%(15/85)
・2019年度アクチュアリー試験結果 
1次試験合格率(合格者数/受験者数)
数学23.9% (272/1,136) 生保数理32.0% (248/774) 損保数理16.2% (103/637) 
年金数理17.2%(75/442)  会計22.1%(160/725)
2次試験合格率(合格者数/受験者数)
生保1 13.5%(49/362) 生保2 18.1%(64/353) 損保1 12.3%(20/163) 
損保2 16.8%(22/131) 年金1 15.9%(13/82) 年金2 13.5%(13/96)
・平成30年度アクチュアリー試験結果 
1次試験合格率(合格者数/受験者数)
数学13.0% (148/1,139) 生保数理12.8% (92/719) 損保数理23.5% (153/652) 
年金数理35.2%(191/542)  会計14.1%(97/689)
2次試験合格率(合格者数/受験者数)
生保1 14.7%(53/360) 生保2 13.5%(47/347) 損保1 10.8%(17/157) 
損保2 15.3%(20/131) 年金1 14.1%(12/85) 年金2 17.1%(19/111)
・平成28年度アクチュアリー試験結果 1次試験合格率(合格者数/受験者数)
数学19.7% (201/1,020) 生保数理10.6% (80/753) 損保数理13.2% (82/621) 
年金数理16.6%(85/512)  会計17.2%(104/603)
・平成27年度アクチュアリー試験結果 1次試験合格率(合格者数/受験者数)
数学20.2% (189/934) 生保数理14.0% (96/684) 損保数理20.5% (126/615) 
年金数理18.5%(89/482)  会計46.1%(321/696)

受験対策・学習法ほか

アクチュアリーは生命保険事業や損害保険事業だけでなく、年金事業、共済事業、さらには企業の資産運用などの多彩なフィールドで活躍しています。金融の自由化などにより、ますますその役割が重要になっており、海外のアクチュアリー会などとも交流のある国際的な資格であるため、その評価は高いです。この資格取得の要件は、全7科目の資格試験に合格して(社)日本アクチュアリー会の正会員になり、プロフェッショナリズム研修の受講が必須の要件になっています。

アクチュアリー試験は予備校などはほとんど対策講座を行っていないため、独学が中心となりますが、 仕事をしながらの受験の場合は、通常は1年1科目、早くても1年2~3科目が限度と考えてよいでしょう。1年1科目ずつ取るのも大変な資格です。年に1回、日本アクチュアリー会がアクチュアリー講座(基礎講座、特論講座および追加演習講座)を開催しているので、それを受講するのも良い方法です。
個々の試験科目の特徴(CBT方式以前)
・数学:確率と統計知識がない人には難解。
・生保数理:教科書に沿って演習問題の量をこなす必要有。
・損保数理:これも生保と同様、演習で量をこなす。
・年金数理:一番難解かも知れない。
・会計/経済/投資理論:教科書に沿って、会計は暗記したらいいでしょう。
・損保Ⅰ:基本は教科書と法令の丸暗記です。
・損保Ⅱ:試験範囲が広く、量も多い科目。経理の知識がないとちょっと難しい。

主な試験対策としては、知識系は教科書を繰り返し読み込み、過去問を繰り返し解く、対策はこれに尽きますが、この資格は法律系や語学系資格のように暗記する量はそれほど膨大ではなく、インプットしなければならない量としては限られていますが、ポイントは数学です。問題の演習を繰り返すことにより、解法をマスターしていくことが試験対策になります。従って、数学などを大学の教養課程などで学んだ人はある程度対応出来るかも知れませんが、損保数理、生保数理、年金数理などは専門性が高く難解であるため、この資格を狙う人は、目標を早期に決めて早めにこれらの勉強を始めることが重要です。また同時に、会計・経済・投資理論などについては経済学の知識も必要となるので、併行して学習していかねばなりません。

結局、言いかえれば受験対策は、社会人の場合は勉強時間が取れないので、学生時代に1次試験科目をなるべく取っておくことがベストな対策と言えます。ただ、総論として、大学の数学系出身者がまじめにやっても、合格まで数年はかかると覚悟しなければならないレベルの試験です。
従って、「理数系の大学を卒業して保険会社や信託銀行などに入職して、会社で保険や年金の実務経験を積む」ことができない人は、独学か各種講座を利用して基本科目5科目合格を目指します。次に、専門科目2科目に合格し、日本アクチュアリー会のプロフェショナリズム研修を受講して会員になるというのが一般的な資格取得のコースになります。

アクチュアリーに向いた人は、まず数字が好きな人、またコツコツとまじめに積み上げていくことが得意な人や、書類作成や管理することなどが得意な人でしょう。
この資格は他の民間資格と違い、業界での評価は高く、就職・転職に有利です。仕事は保険料金の設定や経営リスクの分析といった専門的な分野で活躍が可能です。取ってしまえばかなりの高待遇が約束されている資格でもあり、会社勤めでも1000万円を超える年収が期待できます。普通は保険会社や信託銀行などに所属し活躍している人が多いようです。現在の日本アクチュアリー会の正会員数は約1300名。アクチュアリーは、一般にはなじみが薄いですが、医師や弁護士に勝るとも劣らない難関資格であり、海外では人気の高い職種です。とかく複雑、難しい、ややこしい、と言われる生命保険料の算定の背景には、難関資格「アクチュアリー」の存在があるのです。

受験資格

●1次試験:
  2023年3月31日時点で18歳以上の方(2005年4月1日までに生まれた方)が受験できます。
●2次試験
 第1次試験の全科目(5科目)に合格した日本アクチュアリー会の準会員が受験できます。

試験方式

・試験は第1次試験(基礎科目)および第2次試験(専門科目)からなります。
・試験方式はCBT方式
●1次試験(基礎科目)
 ・多肢選択式(語群選択・数値記入を含む)
 ・試験時間は、各科目180分
 ・出題範囲は教科書に限定
●2次試験(専門科目)
 ・試験時間は、各科目180分
 ・専門的知識の部分は教科書・参考書を中心とした出題範囲
 ・問題解決能力の部分はアクチュアリーの役割や時事問題についても出題範囲に含め、論述式の解答を求める。

●合格基準:
【第1次試験】
(「数学」、「生保数理」、「損保数理」、「年金数理」、「会計・経済・投資理論」)については、合格基準点(各科目の満点の60%を基準として試験委員会が相当と認めた得点)以上の得点で合格となります。 ただし、「会計・経済・投資理論」については、「会計」、「経済」、「投資理論」の各分野のうち一分野でも最低ライン(分野ごとの満点の40%を基準として試験委員会が相当と認めた得点)に達していない場合は、不合格となります。 
【第2次試験】
(「生保 1」、「生保 2」、「損保 1」、「損保 2」、「年金 1」、「年金 2」)については、合格基準点(各科目の満点の60%を基準として試験委員会が相当と認めた得点)以上の得点で合格となります。ただし、第Ⅰ部、第Ⅱ部のいずれかでも最低ライン(第Ⅰ部・第Ⅱ部ごとの満点の40%を基準として試験委員会が相当と認めた得点)に達していない場合は、不合格となります。

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試験科目

●1次試験  
第1次試験は第2次試験を受けるに相当な基礎的知識を有するかどうかを判定することを目的としています。
・試験科目は「数学」「生保数理」「損保数理」「年金数理」および「会計・経済・投資理論」の5科目で、この中から受験科目を受験者が選択します。
①数学:確率・統計・モデリング
②生保数理:生保数理の基礎及び応用
③損保数理:損保数理の基礎及び応用
④年金数理:年金数理・年金財政の基本
⑤会計・経済・投資理論:会計・経済・投資理論の基本
1次試験の5科目に合格すると、アクチュアリー会から「準会員」として認めらる。
※1次試験の1科目以上に合格した場合は、アクチュアリー会の研究会員になれる。

●2次試験
第2次試験はアクチュアリーとしての実務を行う上で必要な専門的知識および問題解決能力を有するかどうかを判定することを目的としています。
「生保コース」「損保コース」および「年金コース」のうちいずれか1つのコースを受験者が選択します。
・試験科目
 ①生保コースでは「生保1」および「生保2」
 ②損保コースでは「損保1」および「損保2」
 ③年金コースでは「年金1」および「年金2」の2科目で、受験科目は受験者が選択します。
・試験問題は、全体の5割程度が「アクチュアリーとしての実務を行う上で必要な専門的知識を有するかどうかを判定する問題(第I部)」、
全体の5割程度が「アクチュアリーとしての実務を行う上で必要な専門的知識に加え問題解決能力を有するかどうかを判定する問題(第Ⅱ部)」で構成されます。

・試験日時と科目
(1日目)
 10:00:生保1・損保1・年金1 
 14:30:損保数理
 (2日目)
 10:00:生保2・損保2・年金2
 14:30:生保数理
 (3日目)
 10:00:年金数理
 14:30:数学
 (4日目)
 14:30:会計・経済・投資理論

スケジュール

プロメトリックについて
 ・試験を検索するとき
 ・試験会場を検索するとき
 ・受験の流れを知る
 ・会場開催状況をみる
 ・ID作成/予約手順


 2023年アクチュアリー試験日程  
 
2022年度より紙による試験方式から、CBT(Computer Based Testing:コンピューターを利用した試験)へ移行しました。
 

試験会場

●第1次試験
東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県内の各地の他、札幌市、仙台市、名古屋市、大阪市、福岡市の各会場
●第2次試験
東京都、神奈川県、埼玉県、千葉内の各地の他、大阪市の各会場

受験料

・1次試験
 各科目8500円(税込)
  ※会員・非会員の区別なく一律
・2次試験
 各科目8500円(税込)

※第1次試験に1科目以上合格された方は、理事会の承認を受けて入会することにより、日本アクチュアリー会の会員となることができます。
※2023年度日本アクチュアリー会年会費
  正会員:30,000円  準会員・研究会員:15,000円

問い合わせ先

(社)日本アクチュアリー会  03-5548-6033 http://www.actuaries.jp/menu_j.html
〒104-6002
東京都中央区晴海1-8-10 晴海アイランドトリトンスクエアオフィスタワーX 2F
TEL:03-5548-6033  FAX:03-5548-3233

【以下の各項には一部広告が含まれています。】

通信講座・eラーニング

アガルートアカデミー
アガルートのアクチュアリー通信講座

通学スクール・講座

日本アクチュアリー会主催講座    
アクチュアリー講座 基礎/特論講座

教材(過去問集)

アクチュアリー過去問集

教材(テキスト・参考書)

アクチュアリー試験対策教材一覧

【アクチュアリー おすすめ教材】
アクチュアリー試験 合格へのストラテジー 生保数理
アクチュアリー数学入門[第4版]
アクチュアリーのための 生命保険数学入門
日本アクチュアリー会推奨教材

関連情報

【資格の難易度情報】
資格の難易度とランキング
ジャンル別資格の難易度ランキング

●試験関連情報
2023年からアクチュアリー試験は「CBT方式」で実施されることに決まりました。また、それに伴い受験資格や、受験料などの改正も行われます。

●関連資格
 CERA資格
 FP技能士
 DCプランナー